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北海道の旅その3、懐かしい人 [旅]

 北海道3日目の朝は、二人ともぐっすり眠れて少し旅の疲れが取れた気分でした。窓のカーテンを開けると、昨日までの曇った空とは打って変わって、明るい朝の光が広がっていました。

 木々と緑に囲まれた景色の奥のほうで、鮮やかな色をした気球が上がっているのが見えました。ロープにつながれた気球はあまり高く上がらないで、静かに上下を繰り返していました。

 そういえば、ロビーに置かれたチラシの中に気球のことが書いてあった気がしました。妻に行ってみるかと問いましたが、もういいという返事です。

 まずは朝ごはんでした。場所は昨夜と同じです。朝食は昨夜ほどがっかり感はなく、それぞれ好きなものを取り揃えて楽しく食べられました。ここは地方の温泉旅館、やはり札幌のホテルと比べるのは無理があります。

 待ち合わせの時間は9時半、時間の余裕があったので少し外へ出てみることにしました。フロントの人にどこか近く、1時間ほど遊べるところはないかと聞いたら、先ほど気球を上げていたところを教えてくれました。もう気球の時間は終わっているそうでしたが。

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 外へ出ると朝のさわやかな空気が感じられました。それでも日差しに強さがあり、内地ほどではありませんが北海道も猛暑の影響を受けているのがわかります。

 妻は涼しい北海道を期待して来たのに、それほどでもないので新千歳に到着してからずっと暑い暑いとこぼしてます。歩くと時間もかかりそうなのでヤリスで行くことにしました。

 教えられたところは、ホテルから道路へ出てまっすぐ行ったところ、十勝が丘公園というところでした。もう気球のかけらもなく人の姿もありません、きれいに刈り込まれた芝生が一面に広がっていました。

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 小高い丘に大きな花時計「ハナック」がありました。遊歩道があるので近くまで上がっていけます。整然と植え揃えられた花で囲まれた花時計に妻はきれいと言ってましたが、私は手入れが大変だろうななんて思ってしまいます。

 足湯の施設は時間の関係か閉鎖中でした。足を伸ばすと十勝が丘展望台がありましたが、そこまで行く時間はなさそうでした。十勝川、十勝川温泉、十勝平野、遠くには日高山脈が見渡せるところだったようです。

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 北海道の道は脇道に入っても、まっすぐです。

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 駐車場のわきの草地で9月というのにアカツメクサが咲いていました。

 周辺を散策をして約束の時間より少し早めに帰ってくると、妻があの人じゃないと言います。見るとロビーの端の席に白髪の老婦人が座っていました。

 少し思い描いていたイメージと違っていました。近寄ると向こうも反応してすぐk子さんだとわかりました。ほぼ三十年ぶりです。再会のあいさつもそこそこに、お互いの来し方の話になりました。

 と言ってもほとんど彼女がしゃべっていました。ご主人がしていた商売がだめになったこと、その後いろいろ大変だったこと、そして5年前にご主人が癌で亡くなったこと。

 k子さんは中学の同級生、1学年330人ほどで8クラスあったので、一度もクラスが一緒になっていない人がたくさんいる中で彼女とは2年3年と同じクラスでした。

 京都の短大に行っている時にご主人と出会って、結婚、しばらく地元で暮らしていましたが、ご主人の生まれ故郷の北海道へ一緒に行くと聞いたときは驚きました。小柄で華奢でとてもそんな風に遠い北海道へ行って生活するような人には思えなかったのです。

 私が北海道へ行くので会おうと連絡した時もk子さんの方が十勝川温泉まで来ると言うので驚きました。車の運転ができるんだと。でもよく考えれば、広い北海道では車がないとやっていけないですね。

 30歳の時に免許取得したそうで、40年経つのにいまだに冬は運転できないのよと笑いながら嘆いていました。いろいろな話をしながら、そのたびに亡くなったご主人の名前が出てくるのが印象的でした。

 「いてくれるだけでよかったのに」と言って一拍おいて「彼の年金が欲しいのよ」と笑いにごまかして言ったけれど、本音を隠したジョークだったと思います。

 途中から妻も会話に加わって、話があちこちにとっ散らかって何が何だか分からなくなるほどでした。これから帯広の六花亭に行こうということになりましたが、そこが11時開店なので10時半ころまでしゃべっていました。

 帯広には六花亭本店もありますが、彼女は西三条店が良いと言います。十勝温泉から帯広まで車で20分ほどです。ナビがあるのに少し道を間違えてしまい、後ろを付いてきたk子さんの方が早く店に着きました。

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 (帯広、六花亭西三条店。写真を撮り忘れてお店のホームページからお借りしました)

 今回の旅、旅慣れていないせいか最初の札幌のホテルの写真、友人Hの写真、今回の宿の写真、k子さんの写真、たくさん撮り忘れてしまいました。

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 (こちらもお借りした写真です)

 一階はケーキやお菓子などが宝石のようにショーケースに並んでいました。おしゃれなお店でほとんどが女性客でした。

 チョコレートなどのお土産が並んだコーナーがありました。北海道へ来てまだお土産を一つも買っていなかったので、私と妻はそこでいくつかのお土産を買いました。

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 (こちらもホームページから借りています)

 二階のカフェで3人でピザをいただきました。生地がふんわり柔らくてチーズもトッピングの野菜も新鮮でおいしかったです。そしてコーヒーと上品な味のシュークリームをいただきながらおしゃべりは続きました。

 初めて会った時の違和感は彼女がマスクをしていたからかもしれません。マスクをはずすと懐かしい顔全体が現れ、覚えのある口元のほくろが見えました。

 そして機関銃のようにポンポン早口でしゃべる様子を見ていると、ああそういえば中学生の頃の彼女もそんな感じだったと懐かしく思い出されました。

 40代のころ、k子さんは帰省すると顔を見せてくれていました。その時の印象はもっと落ち着いた印象だったので、今のほうが元気でにぎやか、昔に戻ったかのようでした。

 1時半には車を返して札幌行きの列車に乗らないといけないので、1時近くまでおしゃべりしていたように思います。駐車場で次はいつ会えるかわからない思いを抱きながら、お互いにまたねと言ってそれぞれの車に乗って別れました。

 ご主人を亡くして大樹町に一人暮らしと思っていましたが、同じ大樹町に娘さんがいて、帯広には息子さんもいるそうです。彼女が住む町も見られ、元気な様子に接することができて安心しました。会えてよかったと思いました。



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 (こちらもトヨタのホームページからお借りしました)

 さてk子さんと別れて、今度はレンタカー、ヤリスともお別れです。助手席の妻にこのまま家まで乗って帰ろうかなどと冗談を言いながら、帯広の街を駅前に向かって走りました。



 I Miss You So いろいろな解釈がありますが、懐かしい友人にも適用できるようです。歌はSamara Joy 22歳と思えないしなやかな声と幅広い表現力、本格的ジャズシンガーの登場です。






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